『無垢フローリングの掃除や汚れ落としにスチームクリーナーは使えるのでしょうか?』というご質問をいただきました。
答えとしては「無垢フローリングの掃除や汚れ落としにスチームクリーナーは使えます。」という事になります。
スチームクリーナーは、洗剤は使用せずに高温のスチーム(蒸気)でしつこい黒ずみや油汚れを浮かび上げ、汚れを落とすことができる
便利な水拭き掃除ツールです。高温のスチームで頑固な汚れを浮かび上がらせて水拭き掃除します。最近では、ハンディタイプ、モップタイプ、ワイパータイプなどさまざまな方式の製品を見かけるようになりました。
以下の画像は、杉集成材フローリングの汚れをケルヒャーのスチームクリーナーでお掃除した場面です。
雑巾掛けやモップ掛けだけでは落ちなかった汚れが、泥の様になって浮かび上がるのがよく分かります。




しかし、無垢フローリングにスチームクリーナーを使用するには色々と条件があります。
基本的に無垢材に水分は大敵です。木材が水分を吸って膨張したり湿気を吐いたりすることで無垢材に動きが出て反りやひび割れなどを起こし、ささくれたりするからです。
さらに濡れた箇所が直射日光にさらされることで無垢フローリングに急激な動きが出て反ったり割れたりして床鳴りがすることがあります。
このようなことから水拭きは避けるように指示されていることが多いですが実際の生活を考えると、子供が食べ物や飲み物をこぼして、乾拭きから水拭きするなどは容易に想像ができますので水拭きをしない生活というのははなかなか難しいところがあります。
無垢フローリングにスチームクリーナーを使用するにあたりいくつか注意点を上げてみます。
樹種によっては使える?使えない?
頂いたご質問には、「無垢フローリングの樹種によってスチームクリーナーが使用できる樹種と使用できない樹種や材質があるんですよね?」
ともご質問を受けますが、これは間違えだと思います。よくよく聞いてみると「広葉樹は使用できて、針葉樹には使用できない?」という事でした。もう少し詳しく聞いてみると、「硬い木にはスチームクリーナーが使えて柔らかい木には使えない」と考えられているようです。
確かに広葉樹には、オーク、タモ、メイプル、チーク、アッシュ、サクラなど硬い木が多く針葉樹は、杉、桧(ヒノキ)、パイン、カラマツ、アカマツなど柔らかい木が多いです。
ただ、何と比べて硬い柔らかいを判断しているのか不明瞭です。例えば、広葉樹でも朴や桐は針葉樹であるラーチよりも軽くて柔らかいです。硬い軟らかいがどのように影響しているのかわかりませんね。
また、硬いから水を吸わないという訳ではなく導管に水を垂らすとポタポタと水が落ちていくのがはっきりとわかるほど水を通します。
硬い、柔らかいで無垢フローリングにスチームクリーナーが使えるかどうかは判断できません。
木材の収縮については木材性質一覧表を参考にしていただければと思います。
無垢フローリングの表面仕上げを調べる
無垢フローリングの表面仕上げのほとんどが紙やすりで研磨したサンディングまたは鉋(カンナ)で仕上げたカンナ仕上げのいずれかです。
サンディングは、塗料を絡めるために無垢フローリング表面を毛羽立たせてその毛羽立ちに塗料を絡めて仕上げます。サンディングは、あくまでも塗装下地という考えです。
鉋仕上げは、その名の通り刃物の鉋で仕上げます。木材の表面は、究極の平滑です。毛羽立ちは無く、水も弾くほど平滑な仕上がりです。お寺の廊下などは、水拭きが基本となります。
サンディング表面に水を垂らして乾燥すると当然のごとく毛羽立ちが起きザラつきます。
鉋仕上げの場合は、そもそもあまり汚れ着くことは無く濡れ雑巾を使用して水拭きして磨き上げると光沢が出てきます。
サンディングの無垢材にスチームクリーナーを掛けた場合は、毛羽立ちが起きるという事を事前に理解しておきましょう。
鉋仕上げの場合は、スチームクリーナーを掛けても毛羽立つことは無いですし日々の雑巾がけでかなり汚れは落ちます。そもそもスチームクリーナーを使う場面は少ないでしょう。硬く絞った雑巾で水拭きするのが最適だと思います。
無垢フローリングの塗装を調べる
無垢フローリングにスチームクリーナーを使う際には現状の塗装にも気を付けなければいけません。無垢フローリングに施される塗装は大きく分けると以下となります。
無塗装
これはその名の通り何も塗装していない状態ですね。基本的に鉋仕上げ以外で無塗装の状態で使用することはあまりありません。
自然系塗装
一般的に自然オイル塗装や蜜蝋ワックス塗装と言われています。水性ではなく油性を使うようにしましょう。オスモ社、リボス社、クランプ社などが代表的なメーカーです。木の風合いを生かし、導管を閉じない状態なので素足だと夏はサラサラ、冬は冷たく感じることはございません。
表面は、静電気が発生しにくく埃(ホコリ)は吸着しませんので窓を開けるだけでもある程度の埃(ホコリ)は飛んでいきます。塗装も簡単なので補修もしやすいです。
ウレタン塗装
無垢フローリング表面に造膜(コーティング)する塗装です。塗膜が平滑でピカッと輝きます。素足だと夏はペタペタ、冬はヒヤッと感じます。
静電気が発生しやすく埃(ホコリ)が吸着しやすいという特徴があります。塗膜が傷まなければ汚れも付きにくく、メンテナンスが楽です。
しかし、この塗膜は10年ほどすると劣化して剥がれ、みすぼらしい感じが否めません。部分的な補修がしにくいです。
フローリング表面が無塗装、自然系塗装(オイル、ワックス)ウレタン塗装のどれでもスチームクリーナーは使用できます。スチームクリーナーを掛けた結果、どの様になるのかで対処方法を考えなくてはいけません。
無塗装や自然系塗料は、スチームクリーナーを掛けた後にオスモ社やリボス社などのオイルとワックスでお手入れできます。しかし、ウレタン塗装は剥離箇所があれば高温のスチームクリーナーを掛けることでさらにウレタン塗装を剥離する可能性が高くなります。また、ウレタン塗装によってはスチームクリーナーから出る高温の水温で溶けてしまう可能性もあるので注意が必要です。
無垢フローリングにスチームクリーナーを使う際のポイント
・スチームクリーナーは素早く移動しながら使用する。ピンポイントで木材に当てない。
・浮き上がった汚れを水ですすぎながら素早く掃除機などで吸水する。
・掃除機で吸いきれなかった水分を
清潔なモップやマイクロファイバーウエスなどで吸水し乾拭きする。
・さらに清潔なモップやマイクロファイバーウエスなどで拭き上げ乾拭きする。
・床面に水分が残らない様に乾拭きになるまでしっかりと拭き上げる。
・極端に快晴の日は避ける。
直射日光が当たると木材が急激に乾燥し反りや割れ、隙間の原因となります。
極端に湿度の高い日も避けましょう。
・スチームクリーナーを使用後は、
毛羽立ちを適切な番手でサンディング(サンドペーパー)し、
表面を整えてからフローリング用オイル(オスモ社、リボス社)などを
塗布してフローリング表面を仕上げる。
※スチームクリーナーを無垢フローリングに汚れ落としとして使用する際の
1番の注意点は、長時間水分を無垢フローリングに残さないことです。
これは雑巾を使用しての水拭きも同様です。基本的には必ず硬く絞った雑巾を使用して水拭きしましょう。水が滴るほどの水分を含んだ雑巾での水拭きは特定の場所で使う事はありますが、基本的に住宅内での水拭きは硬く絞った雑巾をお勧めいたします。
うちのフローリングは無垢の無塗装カンナ仕上げなのですが、水拭き電動モップや水拭きお掃除ロボットなどは使っても大丈夫なのでしょうか?
コメントいただきありがとうございます。
現状を見てみないと判断ができません。
ただ、どの様な樹種でも、どの様な仕上げでもロボット任せにはできません。しっかりと状況を見ながらのお掃除となります。
一度、ご購入いただいたフローリングメーカーに問い合わせてみてはいかがでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
杉材の無垢の下に電気の床暖房の基盤がある場合はやめた方がいいでしょうか??
程度にもよると思いますが大丈夫じゃないでしょうか?
責任は持てません。ご了承ください。