キッチンや洗面・脱衣所にはウレタン塗装が適しているの?

投稿日:2018年01月26日

Q:キッチンや洗面・脱衣所にはウレタン塗装が適しているの?

お施主様から良くいただくご質問の一つです。
ハウスメーカーさんや建築屋さんからも
水周りなどはウレタン塗装の方が良いですよと
薦められることもあるようです。

どちらかというと、
間取り的に水廻りは北側に設定されることが多いように思います。
キッチンも洗面所も暖かいイメージはあまりありませんね。
はっきり言って寒いことが多いのではないでしょうか?

無垢フローリングを検討する際に
温かみがあり、足触りが良いという理由で選ぶ方も多いはず。
寒いと分かっているお部屋で、冬は冷たいとわかっている
ウレタン塗装を選ぶなんて本末転倒です。

ウレタン塗装をお薦めする方の気持ちも分からない訳では無い。
ウレタン塗装なら、表面に造膜されているので
水弾きの輪染みや落ちた粉洗剤なども硬く絞った雑巾で拭き上げれば
そこそこ綺麗になります。

でも、ウレタンの膜に頼っていても、
十数年すると膜は確実に剥がれます。
ウレタン塗装は、剥がれだしたらとまりません。
ウレタン塗装が最高に綺麗なのは施工が終わった瞬間です。
後はどんどん塗装が剥がれてみすぼらしくなっていきます。
表面に膜を作っているので、
その上に重ね塗りというのは不可能なのです。
せっかく何十年も使う予定だった無垢フローリングが、
ウレタン塗装のせいで十数年しか使えないという事も実際にあります。

それでは、表面に膜を作らない、
含浸型のオイルやワックスはどうでしょう?
オイルやワックスは、ウレタン塗装ほど完璧な膜はできませんが、
無垢材表面の感触(足触り・手触り)が残っているので
夏はサラサラしていて冬は暖かいと言った感じです。

しかし、オイル塗装や蜜蝋ワックスは、手入れを怠っていると
輪染みや汚れは染み込んでいきます。
キッチンや洗面・脱衣所の手入れとなると、
半年に一度の蜜蝋ワックス塗布をお勧めしております。
その他、居間・廊下・寝室などは2,3年に1度の塗布となります。

なんだかオイル塗装も面倒だなぁ…と思われた方、
そうなんです。実際に蜜蝋ワックス塗布は時間もかかり面倒なのです。
革製品のバッグや靴などの様に
自分でワックスを塗布しながら良い色になるのを楽しむ。
と言うのも良いかもしれませんが、
住宅のフローリングとなるとかなりの面積になり大変です。

そうなるとオイル塗装の様な感触で、
ウレタン塗装の元気な時期の性能を
併せ持った無垢フローリングに最適な塗装は無いものか?
そんなに都合が良い塗装があればみんなそうしますよね。

それが発売されたのです。

それは液体ガラス塗料です。
無垢フローリングに塗った感じは、まさにオイル塗装の様な仕上がりで
中性性洗剤も使えるメンテナンス性の良さが液体ガラス塗料です。
数年前までは、嘘みたいな話でしたが現在はよく使われます。

ガラスと聞くと、なんだかテカテカして冷たいようなイメージがしますが、
全く逆で自然な風合いで、もちろん木の温かさも感じる事が出来ます。

日々のお掃除は、乾拭きや掃除機はもちろんOKです。
絞った雑巾で水拭きして頂いても大丈夫。
さらに頑固な汚れには、中性洗剤を薄めて雑巾掛けもOK。
現況の液体ガラス塗料に再塗布も可能です。
再塗布は5年に1度の頻度です。

なんとまぁよくできた塗料です。
価格的には、今のところオイル塗装よりも若干割高ですが
このまま増えていく事で使いやすい価格に下がって行くと思います。

無垢フローリングは、憧れるし大好きだけれど
”メンテナンスは嫌いじゃないけど共働きで時間がない。”
”もう歳なのでなるべくメンテナンスフリーに近いものが良い”
”水周りにウレタン塗装を薦められたけど冷たくて剥がれるのはヤダ”
こんなお施主様には液体ガラス塗装をお勧めします。

 

無垢フローリング材のお手入れ・メンテナンスについてのまとめ

>無塗装の無垢フローリングのお手入れ、メンテナンス、掃除
>オイル塗装の無垢フローリングのお手入れ、メンテナンス、掃除
>UVウレタン・ウレタン塗装の無垢フローリングのお手入れ、メンテナンス、掃除
>ガラス系塗料塗装(SSG・木塗MOKUTOなど)の無垢フローリングのお手入れ、メンテナンス、掃除
ナラ無垢フローリングのお手入れ、メンテナンス方法
杉無垢フローリングのお手入れ、メンテナンス方法
桧無垢フローリング お手入れ面メンテナンス

 

 

木材コンシェルジュ

1973年大阪生まれ。幼少期から材木置き場で材木と触れ合いながら育ってきました。これまで20000件以上、無垢フローリングをコーディネイトしてきました。

私どものショールームでは五感全体で感じる居心地の良い空間を実際に体験しながら、ご自身の目で 本物の無垢フローリングを確認していただけます。本当にあなたのライフスタイルに合う無垢フローリングを私たちが選び出します。

無垢フローリングをキッチンに採用できるの

投稿日:2012年02月19日

『キッチン・台所・洗面などの水周りに無垢フローリングは使えますか?』
これよくお施主様から頂く質問のひとつです。

キッチン床に無垢フローリングを採用しても大丈夫なのか?
LDKと1つの部屋として考えたときにキッチン床だけをタイルにすると不自然ではないのか?
タイルにしたら立ち仕事ばかりなので足腰が疲れる、タイルに陶器の食器を落としたらほぼ破損するだろうし、冬に冷たいタイルのキッチンだけスリッパを履くような面倒は避けたい。
タイル目地の汚れ掃除は結構面倒だとも聞くし…

また、キッチン床部分だけをウレタン塗装にするとキッチン床だけが最初のうちはテカテカ光って同じ樹種でも不自然な感じがするのは容易に想像できる。そして、キッチンではシンクとコンロ間を行き来することが多くその部分だけウレタン塗装がはがれてみすぼらしい感じになることもなんとなく想像できる。

あと、少量の油が跳ねてベタベタして気持ちが悪い。こうなると掃除の手間がどれくらいかかる?という問題にもなってしまいます。基本的に無垢フローリングは、乾拭きを推奨していますが絞った雑巾で拭くくらいは多分されるだろうと思います。どの様な塗装の無垢フローリング材を拭くのか?
オイルワックス仕上を拭くのか?
ガラス塗装を拭くのか?
ウレタン塗装を拭くのか?
カンナ仕上げのものを拭くのか?
サンディング仕上げのものを拭くのか?
無垢フローリングの表面と言っても
樹種、グレード、塗装のそれぞれで異なります。

一概に無垢フローリングはキッチン床に使うとこうなります。とは言えません。

キッチンに無垢フローリング床を採用するとなると色々と考えてしまいますね。

もちろんキッチン床に無垢フローリング材は使えます。ただ、汚れが気になるので無垢フローリングをキッチン床に採用するかしまいか迷われている方がほとんどです。

キッチン前は、お施主様が立つ位置は大体決まっています。お施主様が調理や食器の洗物などをするのになるべく移動が少ないようにセッティングされているのがキッチンです。ということは、足裏が擦れる部分やたまにお鍋を落としてしまう位置もそう変わりません。的があるかのように近い部分に物が落ちたり擦れたりします。私の考えでは、表面の塗装が傷ついたり凹んで剥がれたりしない限りは、合板フロアーやウレタン塗装が水弾きよくきれいに保てると思います。

しかし、1年もしないうちに何か物を落として表面の塗膜に傷が付くかとおもいます。そうするとそこから水分は浸透してどんどん塗装が剥がれてきます。また、同じところを人間の体重で毎日擦るわけですからいったん剥がれだしたところはどんどんと塗膜が剥がれていく事になります。

もうひとつは、暖かくて気持ちが良いと思って無垢フローリング材の採用を考えたのにいろんな素人意見から手軽に手入れが出来そうな部材にしようかと考えてしまう事も多いようです。汚れに関してはいろんな意見があるので一概には言えないのですが…

ちなみに昨晩我が家の夕食は春巻きでした。ガンガン油を使って揚げていきます。もちろん目に見えない油が跳ねる跳ねる!跳ねる跳ねる!
たくさん油が跳ねて飛びちっているはずです。

そしてこちらが春巻き完成後のキッチン床です。春巻き画像が無くてスミマセン
わーぃキレイ!と言う事は全然無いですが「汚れてしまったなぁ…」とは全く思いません。ここはそれぞれの価値観の違いなので画像を見て判断してくださいね。

ちなみにこのフローリング材の樹種はシルキーメイプルです。
キッチン1

キッチン3

よくよく見てみると何かの汚れは発見できます。
使いだして2年ほど経つのでよくよく見ると何らかの汚れは発見されます。
キッチン2
油が跳ねた汚れを発見した時点で、とりあえずタオル地のマットを敷いておいて空拭き掃除で木目に沿って拭き取っています。水は跳ねや油跳ねはマットなどで拭きとるだけです。基本的には、水跳ねは木目に沿って拭く。油跳ねも木目に沿って拭く。とにかく跳ねに気が付いたら木目に沿って拭く。

飛び跳ねた油は植物油、ちなみに無垢フローリング材に塗布するオイルやワックスも植物性です。そんなに気にすることも無いのかなぁとも思います。
キッチン4

我が家でもコロッケやから揚げなどの揚げ物は、普通に作っています。

ちなみにメンテナンスとしては1年に一度は蜜蝋ワックスを塗っています。日々のお掃除は、掃除機または雑巾でカラ拭きです。

物凄く油が跳ねる中華料理店でも見かけますがどれだけ拭き掃除しやすい床材を使っていても掃除をサボればベトベトです。よくありますよねビニール系の床でヌルヌルすべるお店が…
多分、油汚れが拭き取りやすいと言う事で採用されたのでしょう。なんせノーメンテナンスで長持ちさせることなんてまずあり得ないという事をもう一度しっかり認識しましょう。床の表面が何で保護されているのか?またその表面保護材の耐久性はどれくらいで塗り直しが出来るのか?
床材を検討する際には、ぜひ頭の片隅に入れて置いていただければと思います。

お施主様なの美的センスなのか、お施主様の綺麗好き度はどうなのか?色々あると思います。

掃除は、ご自身でせずに家政婦さんにしてもらうお施主さんもいらっしゃれば掃除だけは自分でしなくちゃ気が済まないお施主さんもいらっしゃる。

無垢フローリング材は、キッチンに普通に使えます。水や油は想定通り跳ねてキッチン床に落ちてきます。跳ねた水や油は乾いた雑巾やマットで直ぐに拭くようにする。そもそもオイル(油)が塗布された床材にオイルやワックスの上に多少の油が飛んできてもあまり気にならない。
ウレタン塗装の上に油が飛んで来たらとてもネチョネチョし、更には隙間に油が入れば汚れもたまる。

キッチンの床に無垢フローリング材は使えるがウレタン塗装はお勧めしない。環境が厳しくなればなるほど、ウレタン塗装に頼らずに
施主自身でメンテナンスができるオイルやワックス塗装を選ぶ方が良いかと思う。

木材コンシェルジュ

1973年大阪生まれ。幼少期から材木置き場で材木と触れ合いながら育ってきました。これまで20000件以上、無垢フローリングをコーディネイトしてきました。

私どものショールームでは五感全体で感じる居心地の良い空間を実際に体験しながら、ご自身の目で 本物の無垢フローリングを確認していただけます。本当にあなたのライフスタイルに合う無垢フローリングを私たちが選び出します。