広葉樹(こうようじゅ)キリ 桐(ゴマノハグサ科)

野生のものはなく、北海道南部から南の各地に植栽されています。よく知られている産地は福島県(会津桐)、岩手県(南部桐)、新潟県、茨城県などです。しかし、最近は日本での供給が減少していることから、中国、台湾、米国、ブラジルなど海外諸国で植栽されたものが、大量に輸入されています。同類には、タイワンギリ:P.kawakamii、ココノエギリ:P.fortuneiなどがありますが、これらを見分けるのは、容易ではありません。婚礼家具代表の感のあるキリ箪笥の内、かなりの割合が、外国育ちのキリを使ったものです。かつて「娘が生まれたら、キリを植えて嫁入りの時に伐って箪笥をつくってやる」というようなことがいわれ、また行われていました。そのくらい成長が早く、短期間で木材が得られる樹種です。キリを植える習慣は減ったでしょうが、キリの箪笥は家具として、引き続き頑張って欲しいものです。

木材
年輪の境界に大きい道管が帯状に配列する傾向がありますが、あまりはっきりはしません。肌目はやや粗です。辺心材の差はほとんどなく、ともに淡褐色で、心材がやや濃いといえるでしょう。ときに、材面がやや紫色を帯びることがあります。気乾比重は0.19~0.30(平均値)~0.40で、日本産の中では、最も軽軟です。加工は容易で、製品は高い寸度安定性をもちます。そのため種々の家具に用いられ、密閉度の高いものを作ることが出来ます。軽軟なため、下駄にした場合、上の細かい粒が木材にくい込むので摩滅が少なくなります。

用途
家具(箪笥など)、器具、建具、箱、楽器(琴など)、彫刻、 下駄、羽子板などが知られています。

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