無垢フローリング材のお手入れ・メンテナンスについて
最適なメンテナンスで、快適な足触りを保ちましょう
目次
フローリングが汚れる原因
フローリングが汚れる原因として、
- 足裏の皮脂汚れ
- 髪の毛や垢
- 繊維クズ
- 砂ほこり・土埃
- ダニの糞や死骸
- カビ菌
- 食べカスや油脂
などがあります。
無垢フローリングを汚したくない。快適な状態に保ちたい。長持ちさせたい。といっても、毎日生活していく中でこれらの原因を無くすことはできません。
そこで、お手入れ・メンテナンスが大切になっていきます。
塗装や仕上げで異なるお手入れ方法
一概に無垢フローリングのお手入れメンテナンスと言っても、その表面の塗装や仕上げ状況でお手入れ方法が変わります。
同じ樹種のフローリングでも仕上げが異なればお手入れ、メンテナンス方法も異なります。
これは製造メーカーが違っても同様です。それぞれの特徴もあるので、一概に「この樹種だったらこの手入れ」とはなりません。
最低限、我が家の無垢フローリングの表面状況がどのような物なのか知っておかないと、お手入れやメンテナンスをしたつもりでも余計に傷付けてしまったり、汚れたりする可能性もあります。
また、羽目板(壁や天井に張る板)も無垢フローリングと同様に表面の塗装によってお手入れ方法が異なります。
無垢フローリングと羽目板とでは採用箇所は異なりますが、定期的なお手入れ方法はほぼ同じです。
無垢フローリングの表面仕上げの違いについては大きく分けると3タイプの仕上げがあります。
- 無塗装(カンナ仕上げ・サンディング塗装下地)
- オイル塗装
- ウレタン塗装、UVウレタン塗装
以下は、無垢フローリングの表面仕上げの違いによる掃除道具の適合表です。
それぞれの表面仕上げの違いについて、また最近特に取扱いを増やしている浸透性の特殊液体ガラス塗料による仕上げについて、特徴とお手入れメンテナンス方法を詳しくご紹介していきますが、こちらは当社の無垢フローリングのみに適応するお手入れ、メンテナンス方法になります。
各メーカーごとに適したメンテナンス方法がございますので、必ずお買い求めいただいたメーカーのお手入れ、メンテナンス方法をご参照ください。
無塗装の無垢フローリングの場合
単純に何も塗られていない状態です。
しかし、実はこの無塗装状態が一番難しいメンテナンスになります。
一概に無塗装と言っても、サンディング(紙ヤスリ・サンドペーパー)で塗装下地を作っている場合とカンナ仕上げ(超仕上げ)で表面が仕上がっている場合が有ります。
最近の無垢フローリングの無塗装品のほとんどがサンディング塗装下地状態で販売されているでしょう。当社でもザ・ストレートグレイン、木曽桧、桧柾目、賃貸用無垢フローリングマットはカンナ仕上げですが、それ以外の無塗装品はサンディングでの出荷となります。
サンディング塗装下地とは、無垢フローリング表面を#180~240のサンディングペーパーで毛羽立たせ、その毛羽立ちに塗料を絡ませ、塗料が硬化しての仕上げとなります。
あくまでもサンディングは「塗装下地」であり「仕上げ」では無いことをご理解ください。
サンディングとカンナ仕上げ(超仕上げ)の違いは明確です。「下地」か「仕上げ」かです。
サンディングの表面は粉をまいたようにさらさらに感じます。これは細かい毛羽立ちとサンディングくずが残っているからです。水滴を垂らしてみるとすぐに吸収され、しばらくすると毛羽立ちが残ります。裸足で歩くとまさに砂を撒いたような感触です。
また、無塗装(サンディング)はなんだか白っぽいと感じませんか?実は、この白っぽさは木本来の色ではないのです。私たちは、無垢フローリングの製造工程において人工乾燥機を使用します。その際に、水分や精油などの成分が木から出ていきます。その結果、干しシイタケやドライフルーツの様に白っぽく乾物の様な色や表情になってしまいます。
カラカラに乾燥していますのでかなりの吸水力が有ります。そうなると足裏の皮脂やコーヒーなども染み込みやすいという事です。
サンディングされた床材には基本的に何らかの塗装を施してお使いいただくようにお願いします。
たまに「無垢フローリングは、表面研磨(サンディング)できますから」という事を耳にしますが、ピンポイントでは削るのはそれほど手間ではありませんし費用も掛かりません。
しかし、お部屋全面または家全体の床材を表面研磨するのは現実的ではありません。
削れば削るほどV目地が無くなり、隙間が目立つようになるでしょう。
よほどでない限り、住宅なら研磨より貼り替えの方が安くつくと言われています。
カンナ仕上げ(超仕上げ)は、その名の通り表面をカンナで削った仕上げです。
カンナ仕上げは、木の表面を極限まで薄く削った仕上げの事です。
そうです。
カンナ仕上げはサンディング塗装下地ではなく「仕上げ」になります。
表面を極限まで薄くスライスする事で木材の細胞が壊れません。刃物でスパっと切った状態です。そのために水滴を垂らしても弾きます。
足で触れた感じとしては、“スーぴたっ”といった感じです。温かみも感じます。
ほどよい滑りとくっつき感があり、合板やウレタン塗装のようにペタペタしません。
日本中には外装が無塗装でありながら数百年ものあいだ風雨にさらされながら建っている寺社仏閣がたくさんあります。木材はシルバーグレーに変色しながらも腐る事なく建っています。
木材が腐り難いその理由の一つとして、カンナによって仕上られた木材は水が染み込み難くい、カビが生え難い。つまり腐朽菌が増えにくく、腐り難い仕上げだからだとも言われています。
以前の日本の住宅に使われる縁甲板などは、圧倒的にカンナ仕上げが多かったです。
しかし、西洋からサンディング文化が導入され、手間が掛かるカンナ仕上げから手軽で大量生産が可能なサンディングへと変化してきました。
どちらも間違いなく無塗装ですが先ほど述べたような違いが有ります。
昔は、ヌカ袋(湿式)を使って床板を磨いていました。カンナ仕上げだと艶が出て綺麗に光ってきます。しかし、サンディング塗装下地をヌカ袋で磨くと毛羽立ちが出てくるのであまり相性はよくありません。逆にヌカ袋が原因で変なシミになったりする可能性の方が高いです。ここでの毛羽立ちとは、無垢材の表面に浸み込んだ水分が乾燥する際に、木の繊維を持ち上げることで起こる現象のことです。あまり水分が多いと反りの原因にもなります。
昨今では、よほどカンナ仕上げの指定でもしない限り無垢フローリングの表面はサンディングだと思ってください。また、同じ無塗装といえどもカンナ仕上げとサンディング塗装下地とでは全く異なる表面状況であり、お手入れ方法もそれぞれ異なりますのでご注意ください。
無塗装品のフローリングを購入してDIY自分たちでオイル塗装を施そうというお施主様もいらっしゃいます。DIYが大好きな方以外はあまりお勧めしておりません。お引っ越し前のとっても忙しい時期に自分たちで浸透系のオイル塗装を施すということはそれなりの手間と時間が取られます。
現場でオイル塗装するのと塗装工場で塗装した時の差は以下のようなことが考えられます。
現場で塗装すると道具代、人工代の他に巾木や枠類をマスキングテープで養生しなくてはいけません。オイル塗布自体はそれほど難しい作業ではないのですが、掃除や養生など地味な作業はあまり面白くもなく疲れます。道具も繰り返し使う事はなかなか無いでしょう。
仕上がりに関しては、工場でオイル塗装を施すと乾燥後に軽くバフ掛けを行います。表面の毛羽立ちを少なくし、足触りを良くするための加工になります。現場塗装では通常行いません。美しい仕上がりになるとは限りません。住んでいるうちに羽立ちも順々に抑えられてきます。
無塗装無垢フローリング(カンナ仕上げ)の掃除と手入れ・メンテナンス手順
- 窓を開けられる環境でしたら、窓を開けてください。
無塗装(カンナ仕上げ)の場合は、表面に静電気が発生しにくいので埃(ほこり)が床にぴったりくっつく事はありません。
窓を開けて風通しを良くするだけでも、埃はある程度外に出ていきます。 - ホウキまたはフロアワイパー(ドライ)、乾拭き雑巾を使用して残った埃を取り去ります。
無塗装品(カンナ仕上げ)とオイル塗装はホウキと相性が良いようです。 - 家具の裏やフロアワイパー(ドライ)が入り込めなかった箇所は、掃除機を使用してホコリやごみを吸い取りましょう。
- 特に汚れている箇所を見つけたら、硬く絞った雑巾で拭きとってください。
フローリングの隙間に落ちた汚れの付着が気になる方は爪楊枝等で取り除いてください。 - それでも落ちない場合は、カンナを使用して削り取ってください。
紙ヤスリ・サンドペーパーは使わない方が良いです。 - 傷・凹みに関しては、程度にもよりますが凹み箇所にお水を掛けて必ず当て布をし、アイロンで水蒸気を送り込み凹みを膨張させてください。
- 磨いて艶を出したい場合には、ヌカ袋(湿式)をお使いください。
- カンナ仕上げの場合は特に塗装は必要ございません。何かワックスを塗布する場合は、蜜蝋ワックスとの相性がよいです。
無塗装無垢フローリング(サンディング塗装下地)の掃除と手入れ・メンテナンス手順
- 入居前に無垢フローリングに適したフロアーオイルを塗布しましょう。
工事の際に出た切れ端で試し塗りする事をお勧めします。
日常のお掃除やメンテナンスについては後述の「オイル塗装無垢フローリングの掃除と手入れ・メンテナンス手順」をご参照ください。
オイル塗装の無垢フローリングの場合
当社で扱う無垢フローリングの表面塗装で今のところ1番人気なのが表面に膜を作らない浸透系オイル塗装です。
無垢フローリング本来の自然な見た目、足触り、温かさを失うことなく、傷や汚れから保護してくれます。
また、自然素材でもある天然オイル(油)を使用する事から使う側にとって安心感があります。
一概にオイル塗装と言ってもオイルメーカーはたくさんございますし、各メーカー共にラインナップもたくさんございます。
自然系のオイル原料としては、亜麻仁油、大豆油、ヒマワリ油、アザミ油、バルサムテレピン油、レモン油、菜種油、オレンジピールオイル、桐油、アマニスタンドオイル、ヒマシ油など各メーカー共に様々なオイルを混合して商品を販売しています。
有名な自然系、天然系のオイルメーカーとして輸入製品ではオスモ社、リボス社、クランプ社などが有ります。
国産メーカーとしては、玄々化学、ターナー色彩、太田油脂などが有ります。
それぞれオイルの特徴がございますので、当社で“自然OIL&WAX”をご指定頂いた場合は、樹種ごとに適した塗料を使い分けております。
無垢フローリング用のオイル(油)とワックスをよく耳にしますが、そもそもオイルとワックスとでは名前が違いますので用途も異なるという事をご理解ください。
フローリング用オイルと言われている商品は、基本的には木材に浸透し、木材内部で硬化することで表面硬度を高め、対傷や対凹みに対して有効です。植物性オイルが主成分ですが、蜜蝋ワックス成分も多少含まれています。
蜜蝋ワックスはというと、浸透性でもどちらかというと表面に残り防水・防汚効果を発揮します。蜜蝋ワックスが主成分ですが、オイル成分(荏ゴマ油)も含まれております。
ちなみに油跳ねは、オイル塗装よりウレタン塗装の方が目立ちます。オイル塗装された無垢フローリングには元々油が浸透しています。ウレタン塗装に着いた油跳ねの方がベタベタして表面に残る事が多いようです。
当社といたしましては、まずオイル塗装を施し、メンテナンスでは蜜蝋ワックスかけていただく事をお勧めしております。身近なところのイメージで行くと、化粧水がオイルで乳液がワックスと言った感じです。 入居前にフローリング用のオイルを塗る、もしくはオイル塗装が施された商品を購入する。おおよそ1~2年毎にメンテナンスで蜜蝋ワックスを塗布して頂くイメージです。実際には、キッチンやダイニングは半年に1回程度、その他は2年ごとくらいをお勧めします。
お勧めできない蜜蝋ワックスの塗布方法として挙げられるのは「今日は1日掛けて徹底的にワックス掛けをしよう!」というノリは大変疲れます。できれば眠れない夜にでも少しずつ少しずつ塗布していくことをお勧めいたします。
フローリングオイルも蜜蝋ワックスもそれぞれ比率が違うにしても、オイルとワックスが両方含まれています。そうなると蜜蝋ワックスのみを塗布すれば良いのではないかと考えてしまいそうですが、市販されている蜜蝋ワックスはマーガリン状の為に無塗装品には部分的にムラができやすく、なかなか綺麗に塗布する事が難しいです。
補修に関しましては、このオイル塗装が一番し易いです。例えば傷が気になる方は紙やすり・サンドペーパーで擦ってオイルを塗布する事も可能です。凹みが気になるようであれば、凹みに水分を垂らして当て布をしてアイロンを当てれば膨張して戻ってきます。オイルを塗布するにしても蜜蝋ワックスを塗布するにしても重ね塗りができるので大変便利です。
オイル塗装無垢フローリングの掃除と手入れ・メンテナンス手順
- 窓を開けられる環境なら窓を開けてください。
オイル塗装の場合は、ウレタン塗装とは違い表面に静電気が発生しにくいので埃(ほこり)が床にぴったりくっつく事はありません。窓を開けて風通しを良くするだけでも埃はある程度外に出ていきます。 - ホウキまたはフロアワイパー(ドライ)、乾拭き雑巾で残った埃を取り去ります。オイル塗装と無塗装品(カンナ仕上げ)はホウキと相性が良いようです。
- 家具の裏やフロアワイパー(ドライ)が入り込めなかった箇所は掃除機でホコリやごみを吸い取りましょう。
- 特に汚れている箇所を見つけたら、硬く絞った雑巾で拭きとってください。フローリングの隙間に落ちた汚れが気になる方は爪楊枝等で取り除いてください。
- それでも落ちない場合は、紙ヤスリ・サンドペーパーでサンディングして削り取ってください。削られた箇所ではオイルも削られていますのでオイルを塗布してください。
- 傷・凹みに関しては、程度にもよりますが凹み箇所にお水を掛けて必ず当て布をし、アイロンで水蒸気を送り込み凹みを膨張させてください。
- 1~2年毎の定期的にメンテナンスで蜜蝋ワックスを塗布してください。
フローリング表面の汚れを落としてからワックスがけを行ってください。
木の導管に汚れが詰まっているとオイルもワックスも浸透しません。
あまり頻繁にワックスを塗布する必要はございません。元々、木の導管にワックスを入れ込んでいく訳ですから入る量は限られています。浸透しきらなかったオイルやワックスは表面に残ることになり、べたつきや汚れが付く原因になります。
また、例えば家具の下やお部屋の隅など、足の届かない箇所はワックス材の剥がれる要因が少ないので頻繁に塗布する必要はございません。 蜜蝋ワックス塗布のコツは、床が完全に乾いた状態で少しずつチビチビと塗ることになります。 - 水で希釈して溶かす様な水性クリーナーのご使用はなるべく避けてください。水分は無垢フローリングにとっては大敵です。使い方によってはひどく毛羽立ったり反りが出てしまう可能性がございます。各オイルメーカーとも水性クリーナーを販売しておりますが、ご利用にあたっては十分にご注意ください。弊社といたしましては推奨いたしません。
UVウレタン・ウレタン塗装の無垢フローリングの場合
当社で扱う無垢フローリングの表面塗料で今のところ1番出荷量が少ないのは、UVウレタンまたはウレタン塗装です。
UVウレタンと聞くと、何となく“紫外線をカットでもしてくれるのだろう?”と良く思われる方もいらっしゃるようですがそれは間違いです。
ただ単にウレタン塗装をUV照射して硬化を早めているだけ、身体によい影響が有るという訳では全くございません。(以下まとめてウレタン塗装にします)
ウレタン塗装は、フローリング表面にコーティング膜を作りフローリングを保護してくれる造膜型塗料の代表的な塗装です。
見た目は、ピカッと眩しく写り、どこまでも凹凸が無く平滑で、まさに「ザ・新品」と言った感じに見て取れます。ウレタン塗装のおかげで自然素材とは思えない不自然な塗装です。
また、傷が付いていない状況ですと水も侵入し難く汚れが付きにくいです。木材が呼吸をし難くなりますので、無塗装品やオイル塗装品よりも寸法安定性も高まっていると思われます。
コーティングされているので木に含まれる空気に触れる事が出来ず、足触りとしてはペタペタするのでほぼ合板フロアー材と変わりはありません。
ウレタン塗装の特性としてフローリング表面のコーティングに静電気が発生するのでホコリもくっつきます。
しかし、どんな床材でも必ず傷が付く住宅部材です。
ウレタン塗装は、一度傷が付いたり塗装が剥がれたりすると、補修で重ね塗りができません。
最低でもその1枚以上を再塗装しなくてはいけません。通常同じお部屋のフローリングなら周囲と同じように細かい傷もついているはずなので1枚だけが綺麗になったとしたら必ずその1枚は目立ちます。
キッチン前など、水廻りには膜が張っているウレタン塗装をお勧めされる方もいらっしゃいますが、ピンポイントで奥様が立ち仕事をする場所です。
どちらかというと水よりもピンポイントで使われるという事に気にしてお選びください。
ちなみに油跳ねは、オイル塗装よりウレタン塗装の方が目立つことも多々あります。
リフォーム直前にお邪魔するとキッチン前だけウレタン塗装の膜が剥がれているのを良く見ます。洗面所なども同様の考えです。
自然とよく人が立つ(使う)場所は、自分たちで手入れができる物を採用するべきだと思います。
ウレタン塗装は、フローリング木地色との相性に良し悪しがあります。
ウレタン塗装の傷は、白い線傷になります。
白系の木地では線傷が目立ちませんが、ブラックウォールナット材などの濃い色と相性はよくはありません。
表面の膜に付く白くて細かい線傷が目立ち、白くぼけた感じになりがちです。
黒い自動車の色が洗車ごとに白くくすんでいくのと同じような感じです。
お掃除モップとフロアワイパーは、ドライもウェットも相性が良いです。
フロアワイパーはウレタン塗装や合板フロアー専用に開発されている物がほとんどなので当たり前です。
しかし、無垢フローリングのオイル塗装や無塗装には不向きです。お掃除モップやフロアワイパーには着塵剤がたっぷり塗布されています。
着塵剤は、その名の通りホコリを吸着してくれる薬品です。
合板床材やウレタン塗装フローリングはその特性から表面には静電気が発生しますのでホコリがこびり付きます。
こびり付いたホコリを吸着するのですが、これを無垢フローリングの無塗装やオイル塗装に使用すると着塵剤が木に染み込みます。
着塵剤が原因で染み込んだ箇所は黒く汚いシミになり、そこにホコリが吸着することになり踏んだり蹴ったりの状況に陥ります。
ウレタン塗装や合板フロアーは、貼った時が一番綺麗で美しい状況です。その後は、傷が付いたり塗装塗膜が剥がれたりで傷んでいくばかりです。
その点、オイル塗装や無塗装(超仕上げに限る)は使い込むと色艶が良くなりますし、傷補修やオイル、ワックス塗布などのメンテナンスもある程度はお施主様でも可能です。
残念ながらウレタン塗装は、メンテナンスや補修が非常にし難い部材です。素人の方が補修することはほぼ無理だと思います。プロの方にお願いしても補修箇所は綺麗には直らない事がほとんどです。
では、なぜ世の中ではウレタン塗装が主流なのでしょうか?
たぶん、以下の様な理由もあるかと思います。
- 最高に綺麗な状態で販売できる。足裏の皮脂汚れ
- 寸法安定性が高く長期大量在庫がしやすい。
- 傷が付かない限り汚れが付きにくい。
どう思われますか?
①②はお施主様が“安心して快適に過ごせる住宅”とはほぼ関係無くどちらかというと業者都合。③については絶対に傷が付く箇所なので考える余地なし。
15年前後で床材を貼り換えたり、住居を度々替えられる方にとってウレタン塗装はピカッとして平滑で眩しく美しいものに映るかもしれません。
しかし、同じ住居で何十年も暮らそうとしているお施主様にとっては、塗装塗膜がフローリングの耐用年数になるようなウレタン塗装の無垢フローリングは不向きかもしれません。
UVウレタン・ウレタン塗装無垢フローリングの掃除と手入れ・メンテナンス手順
- フロアワイパーを使用して埃(ほこり)を取り去ります。
- 家具の裏やフロアワイパー(ドライ)が入り込めなかった箇所は、掃除機を使用してホコリやごみを吸い取りましょう。
- 特に汚れている箇所を見つけたら、硬く絞った雑巾を使用して拭きとってください。
フローリングの隙間に落ちた汚れが気になる方は爪楊枝等で取り除いてください。
紙ヤスリ・サンドペーパー等は使わないように注意してください。
これが原因で表面がくすんでしまう事があります。 - 1~2年毎に定期的に、ウレタン塗装に適したワックスを、乾いた状態で塗布してメンテナンスしてください。水性クリーナーのご使用は避けてください。
ガラス系塗料塗装(SSG・木塗MOKUTOなど)の無垢フローリングの場合
無垢フローリングの塗装において、最近特に取扱いを増やしているのが浸透性の特殊液体ガラス塗料です。
ガラス系塗料と聞くと、ウレタン塗装に様な造膜型で何だか少し冷たいようなイメージを持ってしまいますが、オイル同様に含浸型塗料なので、見た目は自然な風合い、自然な質感に仕上がります。合板フロアーやウレタン塗装のような冷たさは全く感じません。
オイル塗装品とガラス系塗料とを並べて比べてみると、触った感じはほぼ同じです。
ただし色味については、オイル塗装のオイルはクリアーと言えども少し黄色味がかっており、ガラス系塗料は無色透明です。
特殊液体ガラス塗料と自然OIL&WAXの色味差(樹種:ジャーマンメープル(シカモア))
メープル、バーチ、シカモア、桧などの明るく白い色のフローリングに塗った時に見比べると、オイル塗装の方が若干黄色くなり、ガラス系塗料はとても明るく感じます。
特殊液体ガラス塗料は、アルコール系溶剤が短時間で蒸発し、ガラス分が空気中の水分と反応してガラス層を形成します。
対傷性や対溶剤性などの機能性だけでなく、施工性にも優れ、メンテナンスも簡単です。
メンテンスでの塗布としては、5年に1回くらい塗布していただければと思います。液体なので塗布作業は非常にかんたんです。ムラにもなり難いですが、液体の場合はアルコール臭いがきついので塗装屋さんにお願いするのも一つの手かもしれません。乾燥すればアルコール臭は無くなります。
無垢フローリングで快適に過ごしたいけれどもメンテナンスが面倒なので採用に迷われている方、メンテナンスは好きだけど高齢になったのでなるべく楽に済ませたい方、塗料まで自然素材にこだわられない方などには最適かもしれません。
現時点では、オイル塗装に比べると割高ですが、もしオイル塗装で年に1回真面目にワックスを塗布するとなると特殊液体ガラスの方が安くつくかもしれません。
ガラス系塗料塗装の無垢フローリングの掃除と手入れ・メンテナンス手順
- 乾いた雑巾、化学雑巾を使用して乾拭きしてください。
- 汚れが落ちにくい場合は濡れ雑巾を使用して汚れを除去し、その後乾拭きで水気を拭き取ってください。
- 木目に汚れが入っているなど、汚れがひどく落ちにくい時は、薄めた中性洗剤を浸したミクロファイバー布などを使用して汚れを除去してください。水気はすぐ拭き取ってください。
※強アルカリ洗剤は使用しないでください。 - ガムや食べ物による汚れの付着は、表面を傷つけないようにペーパーナイフなどでおおまかに取り除いた後、市販のスプレークリーナーなどを使用して完全に除去してください。
- マジックや絵の具などのひどい汚れが付着した場合は、塗料用シンナー、ラッカーシンナーなどの溶剤をミクロファイバーに含浸させ拭き取ってください。
無垢フローリングに起こるアクシデント それぞれの対処方法
フローリングにワインやしょうゆをこぼしてしまった ときの対処法
オイル塗装品 | 雑巾で乾拭き後、硬く絞った雑巾で拭き上げましょう。 |
ウレタン塗装品 | 雑巾で乾拭きしましょう。 |
無塗装品 | 雑巾で乾拭き後、乾燥してシミになれば表面を研磨しましょう。 |
物を落として凹ませてしまった ときの対処法
オイル塗装品 | 凹みに数滴水を垂らし、当て布をしてアイロンを当てましょう。数回繰り返します。 凹みが膨らんで乾燥してから紙ヤスリ・サンドペーパー#180で磨いて蜜蝋ワックスを塗布しましょう。 |
ウレタン塗装品 | 綺麗に修理するのはあきらめましょう。 無塗装やオイル塗装と同様に、アイロンで補修すると凹みから水分が入り込み、造膜しているウレタン塗装を浮かしてしまう原因になります。 補修業者にご依頼ください。 |
無塗装品 | 凹みに数滴水を垂らし、当て布をしてアイロンを当てましょう。数回繰り返します。 凹みが膨らんで乾燥したら紙ヤスリ・サンドペーパー#180で磨きましょう。 但し、汚れの程度にもよりますがアイロンで汚れが浮きますので、補修したのが目立つ場合もありますので注意が必要です。 |
家具などを引きずって線傷が付いてしまった ときの対処法
オイル塗装品 | 線傷に数滴水を垂らし、当て布をしてアイロンを当てましょう。数回繰り返します。 線傷が膨らんで乾燥してから、紙ヤスリ・サンドペーパー#180で線傷を磨き、消えたら蜜蝋ワックスを塗布しましょう。 |
ウレタン塗装品 | 綺麗に修理するのはあきらめましょう。補修業者にご依頼ください。 |
無塗装品 | 線傷に数滴水を垂らし、当て布をしてアイロンを当てましょう。数回繰り返します。 線傷が膨らんで乾燥したら紙ヤスリ・サンドペーパー#180で磨きましょう。 但し、汚れの程度にもよりますがアイロンで汚れが浮きますので補修したのが目立つ場合もありまので注意が必要です。 |
最後に...
東京都江東区新木場にある無垢フローリングショールームゆらぎでは、ご来場いただいたお客様には無垢フローリングについてのご相談を承っております。
お手入れ方法やメンテナンス方法をご説明させて頂いております。
ショールームでは、各無垢フローリング樹種や各塗装の違いなどもご覧いただけます。
以下の様な疑問いもそれぞれの商品に合わせてご説明させて頂きます。また、汚れの原因やその対処方法なども実際にご確認いただく事が可能です。
- この樹種には、どんな塗装やオイルが適しているのだろう?
- そもそも工業製品の合板フロアーと自然素材の無垢フローリングは何処がどの様に違うのか?
- 大工さんの施工が気になる方には、施工時に確認しておくべき注意ポイント。
- 天然林と植林ではどの部分がどう違うのか?
- “水拭き厳禁”と何処のメーカーも水拭きは避けるべきでお勧めしていないけど水拭きしたらどうなるのか?
- フローリング付き上げの起こる原因や対策方法や注意点。
- 杉(スギ)、桧(ヒノキ)、パインなどの針葉樹は柔らかいけど床材でも大丈夫なの?
- 楢(オーク)、カバ(バーチ)、チェリー(サクラ)、栗(クリ)、チーク、ウォールナットなどの硬い広葉樹のフローリングで生活していて疲れないの?
- カットサンプルで何が分かるの?確認できるの?
- 経年変化で何が変わるの?変色するの?
- コーヒーやワインなど色の濃い液体をこぼした場合はどう対処すればいいの?
- Diyできれいに施工でき、仕上げる事ができる?
- 国産と輸入品だとどちらが良いのでしょうか?
- 施工する大工さんによって仕上がりは変わるものでしょうか?
- 無垢フローリングって新築、リフォーム、リノベーションどれにも使えるの?
- 無垢フローリングの厚みで断熱効果は変わるの?
- 台所、キッチン、洗面、脱衣場などに使っても大丈夫なの?
フローリング一つとってもお施主様の疑問は様々です。
木魂ブログでもご紹介させて頂きます。
ぜひ、無垢フローリングショールームゆらぎへご予約の上ご来場ください。
一緒に一つずつ丁寧に疑問を解消していきましょう。